固定資産とリース:使用権・減損・資産除去を一つの流れで考える
有形・無形資産、減損、資産除去債務、リース、外貨建資産を、取得後の測定と費用配分という一つの流れで整理します。定義、認識・測定、計算順序、検算の順に判断する力を養います。
動画の視聴は会員向けですこの講で分かるようになること
取得後の測定と費用配分を時系列で整理できる。
- 取得後の測定と費用配分を時系列で整理できる。
- 固定資産とリースを資産・負債の両面から説明できる。
- 帳簿価額を基準に減損や売却時の判断ができる。
前提知識
- 日商簿記2級の基本論点。
ひとつ前の講:収益認識と棚卸資産:契約から売上原価までをつなぐ
要点
- 有形資産と無形資産は、取得後に規則的な費用配分を行う。
- 減損は帳簿価額と回収可能価額の比較で判断する。
- 資産除去債務は、除去義務を負債として認識し関連資産原価にも反映する。
- リースは使用権資産の償却とリース負債の利息配分を分けて考える。
- 外貨建資産も、まず認識対象と測定時点を整理してから計算する。
判断のルール
- 定義を確認し、何を資産・負債として認識するかを先に決める。
- 認識後は取得原価や帳簿価額など、基準となる金額を固める。
- 計算は費用配分、評価、売却や返済の順に時系列で進める。
- 比較計算では同じ時点の金額同士を用いる。
- 最後に帳簿価額や残高の増減関係で検算する。
例題
例題1備品の売却損益を帳簿価額から求めるケース
当社は備品を売却した。取得原価500,000円、売却時までの減価償却累計額320,000円、売却価額150,000円で、代金は現金で受け取った。売却時の仕訳を示しなさい。
答え(備品売却時)借方:現金 150,000円、減価償却累計額 320,000円、固定資産売却損 30,000円/貸方:備品 500,000円
考え方まず売却損益を求めるために、取得原価ではなく帳簿価額を見る。帳簿価額は500,000円−320,000円=180,000円である。次に、売却価額150,000円と帳簿価額180,000円を比較すると30,000円不足するので売却損となる。売却時は、資産本体の備品を貸方で消し、対応する減価償却累計額を借方で取り崩し、受け取った現金を借方計上し、差額を固定資産売却損として処理する。
確かめ借方合計は150,000円+320,000円+30,000円=500,000円、貸方は備品500,000円で一致する。帳簿価額180,000円−売却価額150,000円=売却損30,000円とも一致する。
例題2減損損失を帳簿価額と回収可能価額で判定するケース
機械の取得原価は900,000円、当期末までの減価償却累計額は250,000円である。期末に回収可能価額を520,000円と見積もった。このときの減損損失を求めなさい。
答え帳簿価額=900,000円−250,000円=650,000円 減損損失=650,000円−520,000円=130,000円
考え方減損では、まず比較の出発点となる帳簿価額を確定する。取得原価900,000円から当期末までの減価償却累計額250,000円を差し引くと帳簿価額は650,000円になる。次に、帳簿価額650,000円と回収可能価額520,000円を比較する。回収可能価額の方が低いので、回収できない部分130,000円を減損損失と判断する。取得原価のまま比較しないことが重要である。
確かめ減損後の帳簿価額は650,000円−130,000円=520,000円となり、回収可能価額と一致するので計算は整合している。
例題3リース負債の期末残高を利息配分から求めるケース
使用権資産に対応するリース負債の期首残高は400,000円である。利率は年5%、当期のリース料支払額は120,000円とする。当期末のリース負債残高を求めなさい。
答え当期の利息相当額=400,000円×5%=20,000円 当期末リース負債残高=400,000円+20,000円−120,000円=300,000円
考え方リース負債は、期首残高に対して時間の経過による利息相当額が加わり、実際の支払額で減少するという流れで考える。したがって、まず期首残高400,000円に利率5%をかけて利息相当額20,000円を求める。次に、負債は利息分だけ増え、その後に支払額120,000円だけ減るので、期末残高は300,000円になる。使用権資産の償却額とは別の計算である点に注意する。
確かめ増減関係は、期首400,000円+利息20,000円−支払120,000円=期末300,000円で整合する。支払額120,000円のうち、利息20,000円を超える100,000円が元本返済部分であることも確認できる。
よくある間違い
取得原価と帳簿価額を区別せず、そのまま減損判定や売却損益の計算に使ってしまう。
通常の減価償却を行う前に減損計算をして、時点のそろわない金額を比較してしまう。
リースで使用権資産の償却とリース負債の利息配分を混同する。
資産除去債務で、債務だけを認識して関連する資産原価への反映を忘れる。
結論だけを暗記し、前提条件や計算過程を確認しない。
この講の用語
- 有形資産ゆうけいしさん
- 物的な実体をもち、営業活動に継続使用される資産。取得後は減価償却によって費用配分する。
- 減損げんそん
- 資産の帳簿価額が回収可能価額を上回る場合に、その超過額を損失として認識する考え方。
- 資産除去債務しさんじょきょさいむ
- 固定資産の使用に伴って生じる将来の除去・原状回復義務を負債として認識したもの。
- 使用権資産しようけんしさん
- リースにより借手が資産を使用する権利を表す資産。通常、使用期間にわたり償却する。
- 帳簿価額ちょうぼかがく
- 取得原価から減価償却累計額や償却累計額などを差し引いた残額で、比較計算の基準となる金額。
章立て
- 0:00導入この講の到達目標と、問題文を読む出発点を確認します。
- 0:18中心概念有形・無形資産、減損、資産除去債務、リース、外貨建資産
- 0:57重要用語有形資産、減損、資産除去債務、使用権資産、帳簿価額
- 1:48基本ルール定義を確認し、何を資産・負債として認識するかを先に決める。 認識後は取得原価や帳簿価額など、基準となる金額を固める。 計算は費用配分、評価、売却や返済の順に時系列で進める。 比較計算では同じ時点の金額同士を用いる。 最後に帳簿価額や残高の増減関係で検算する。
- 2:31判断手順取引事実または計算条件を確認し、使う勘定科目・計算順序・検算の順に進みます。
- 3:02確認ケース1当社は備品を売却した。取得原価500,000円、売却時までの減価償却累計額320,000円、売却価額150,000円で、代金は現金で受け取った。売却時の仕訳を示しなさい。
- 3:22確認ケース2機械の取得原価は900,000円、当期末までの減価償却累計額は250,000円である。期末に回収可能価額を520,000円と見積もった。このときの減損損失を求めなさい。
- 4:34確認ケース3使用権資産に対応するリース負債の期首残高は400,000円である。利率は年5%、当期のリース料支払額は120,000円とする。当期末のリース負債残高を求めなさい。
- 5:27よくある誤り取得原価と帳簿価額を区別せず、そのまま減損判定や売却損益の計算に使ってしまう。 通常の減価償却を行う前に減損計算をして、時点のそろわない金額を比較してしまう。 リースで使用権資産の償却とリース負債の利息配分を混同する。 資産除去債務で、債務だけを認識して関連する資産原価への反映を忘れる。 結論だけを暗記し、前提条件や計算過程を確認しない。
- 7:04まとめ固定資産とリースは、取得後にどのように測定し、どの期間に費用配分するかを時系列で整理すると理解しやすくなります。有形・無形資産の償却、減損、資産除去債務、使用権資産とリース負債、外貨建資産の測定を、定義、認識・測定、計算順序、検算の順で確認しましょう。
登録は1分・クレジットカード不要。無料のまま練習・暗記カード・模試まで使えます。
