会計学の地図:会計目的・概念フレームワーク・利益の意味
企業会計原則、概念フレームワーク、会計公準、利益概念をつなげて、会計処理の結論を目的と定義から説明する力を養います。
動画の視聴は会員向けですこの講で分かるようになること
会計処理の結論を、目的と定義から説明できる。
- 企業会計原則と概念フレームワークの役割を区別して説明できる。
- 会計公準を利益計算の前提条件として整理できる。
- 利益を収益と費用の対応関係から説明できる。
前提知識
- 日商簿記2級の基本論点。
ひとつ前の講:本支店会計と個別財務諸表:内部利益を残さずに締める
要点
- 会計処理は結論を暗記するのではなく、目的と定義からたどる。
- 企業会計原則と概念フレームワークは処理の根拠を与える。
- 会計公準は企業や期間の区切りなどの前提条件である。
- 利益は当期に認識された収益と費用の差額として把握する。
判断のルール
- 最初に用語の定義を確認してから判断する。
- 次に認識すべき項目かどうかを検討する。
- 認識するなら測定額を定め、計算順序を守る。
- 最後に前提条件と計算結果の整合性を検算する。
例題
例題1収益と費用から利益を求める基本確認
ある会社の当期データとして、商品販売による収益が900,000円、販売活動に対応する費用が540,000円、当期とは関係のない来期分の前払費用60,000円の支払いがありました。当期の利益はいくらですか。
答え当期の利益=当期収益900,000円-当期費用540,000円=360,000円
考え方まず利益概念に従い、当期に認識された収益と費用の差額を求めます。商品販売による900,000円は当期の収益です。販売活動に対応する540,000円は当期の費用です。一方、来期分の前払費用60,000円は支払いが当期でも、当期の費用ではありません。したがって利益計算に含めません。現金の支払いがあったかどうかではなく、当期に属するかどうかで判断することがポイントです。
確かめ検算として、当期に含める項目は収益1件、費用1件だけです。900,000円-540,000円=360,000円で整合します。60,000円を引いてしまうと期間対応を誤っています。
例題2会計公準を使って判断する期間区分
会社が4月1日から翌年3月31日までを1年として会計を行っています。3月に受けたサービスの対価120,000円は未払いで、支払いは4月です。この120,000円を当期の費用に含めるべきですか。
答え当期の費用に含めます。金額は120,000円です。
考え方判断の出発点は期間を区切って成績を測るという前提です。サービスを受けたのは3月であり、当期に便益を消費しています。したがって、支払いが翌期でも、当期の費用として認識するのが適切です。ここでは現金の支払時点ではなく、どの期間の活動に対応するかで判断します。会計公準のうち期間区分の考え方を使うと、費用の帰属期間を誤りにくくなります。
確かめ検算として、もし翌期費用にすると、当期は費用が120,000円少なく、翌期は120,000円多くなります。サービスを受けた期間と費用計上期間がずれるため不整合です。
例題3定義から当期利益を組み立てる確認ケース
ある会社の当期データは次のとおりです。役務提供による収益700,000円、当期分の給料210,000円、当期使用分の消耗品費90,000円、来期分の保険料の前払い40,000円です。当期利益を求めてください。
答え当期利益=700,000円-210,000円-90,000円=400,000円
考え方最初に定義を確認します。利益は当期に認識された収益と費用の差額です。役務提供による700,000円は当期収益です。給料210,000円と消耗品費90,000円は当期の活動に対応するため当期費用です。来期分の保険料40,000円は支払いが当期でも、まだ当期の費用ではありません。したがって、当期利益の計算対象は700,000円、210,000円、90,000円の三つです。定義に従って範囲を確定してから差額を求めます。
確かめ費用合計は210,000円+90,000円=300,000円です。収益700,000円-費用300,000円=400,000円となります。前払保険料40,000円を費用に含めない点が検算上の注意です。
よくある間違い
結論だけを覚えて、なぜその処理になるのかを説明できない。
現金収支と収益・費用の認識を同じものとして扱ってしまう。
企業や期間の区切りという前提を意識せずに判断する。
定義を確認せずに計算へ進み、範囲の誤りを起こす。
この講の用語
- 企業会計原則きぎょうかいけいげんそく
- 企業会計の処理や報告を考えるうえで土台となる基本的な考え方。
- 概念フレームワークがいねんふれーむわーく
- 財務報告の目的や会計要素の意味を整理し、個別の会計処理の根拠を与える考え方の枠組み。
- 会計公準かいけいこうじゅん
- 会計情報を作成する際の前提条件として機能する基本的な約束事。
- 利益概念りえきがいねん
- 一定期間に認識された収益と費用との差額として利益を捉える考え方。
章立て
- 0:00導入この講の到達目標と、問題文を読む出発点を確認します。
- 0:22中心概念企業会計原則、概念フレームワーク、会計公準、利益概念
- 1:10重要用語企業会計原則、概念フレームワーク、会計公準、利益概念
- 1:59基本ルール最初に用語の定義を確認してから判断する。 次に認識すべき項目かどうかを検討する。 認識するなら測定額を定め、計算順序を守る。 最後に前提条件と計算結果の整合性を検算する。
- 2:26判断手順取引事実または計算条件を確認し、使う勘定科目・計算順序・検算の順に進みます。
- 3:11確認ケース1ある会社の当期データとして、商品販売による収益が900,000円、販売活動に対応する費用が540,000円、当期とは関係のない来期分の前払費用60,000円の支払いがありました。当期の利益はいくらですか。
- 3:39確認ケース2会社が4月1日から翌年3月31日までを1年として会計を行っています。3月に受けたサービスの対価120,000円は未払いで、支払いは4月です。この120,000円を当期の費用に含めるべきですか。
- 4:57確認ケース3ある会社の当期データは次のとおりです。役務提供による収益700,000円、当期分の給料210,000円、当期使用分の消耗品費90,000円、来期分の保険料の前払い40,000円です。当期利益を求めてください。
- 6:14よくある誤り結論だけを覚えて、なぜその処理になるのかを説明できない。 現金収支と収益・費用の認識を同じものとして扱ってしまう。 企業や期間の区切りという前提を意識せずに判断する。 定義を確認せずに計算へ進み、範囲の誤りを起こす。
- 7:50まとめ会計学の基礎では、企業会計原則、概念フレームワーク、会計公準、利益概念を一つの流れで理解することが重要です。答案では、定義、認識、測定、計算、検算の順に考えることで、会計処理の結論を根拠をもって説明しやすくなります。
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