標準原価会員向け9:20

標準原価計算:標準と実際の差を原価管理へつなぐ

標準原価、パーシャル・プラン、シングル・プラン、差異会計の基本を整理し、標準と実際の差を帳簿と損益へ反映する流れを学びます。

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この講で分かるようになること

標準原価差異を帳簿と損益へ反映できる。

  • 標準原価と実際原価の関係を説明できる。
  • パーシャル・プランとシングル・プランの違いを整理できる。
  • 差異を帳簿上の勘定と損益へ結び付けて判断できる。

前提知識

  • 日商簿記2級の基本論点。

要点

  1. 標準原価は管理の基準として設定され、実際原価との差が差異となる。
  2. パーシャル・プランは実際額の把握を基礎にしつつ差異を認識する。
  3. シングル・プランは標準原価を中心に帳簿記録を進める。
  4. 差異会計では差異の計算だけでなく帳簿処理と損益反映まで確認する。

判断のルール

  • 定義を確認してから計算に入る。
  • 認識・測定では標準で捉える部分と実際で捉える部分を区別する。
  • 計算順序は標準原価の算定、差異の把握、損益反映の順で進める。
  • 検算では標準原価と差異の合計が実際額と対応するか確かめる。

例題

例題1標準原価と実際原価の差額確認

ある製品を100個完成させた。標準では1個当たり材料費200円、労務費120円、製造間接費80円で、標準原価は1個400円である。したがって完成品100個の標準原価は40,000円である。一方、当月の実際発生額は材料費20,500円、労務費12,300円、製造間接費8,100円、合計40,900円であった。差異の金額を求め、その意味を答えなさい。

答え標準原価合計 40,000円 実際原価合計 40,900円 差異 900円不利差異 結論:実際原価が標準原価を900円上回っているため、全体として900円の不利差異である。

考え方まず標準原価は、1個400円×100個で40,000円と判断する。次に実際原価は、材料費20,500円+労務費12,300円+製造間接費8,100円で40,900円と把握する。標準原価計算では、実際が標準を上回れば不利差異、下回れば有利差異である。今回は40,900円が40,000円を900円上回るので、不利差異と判断する。

確かめ20,500円+12,300円+8,100円=40,900円。40,900円-40,000円=900円。標準原価40,000円に不利差異900円を加えると実際原価40,900円となり整合する。

例題2シングル・プランでの簡単な仕訳確認

シングル・プランを採用している。完成品50個の標準原価は1個300円で、当月完成品の標準原価は15,000円である。月末に実際製造原価を集計したところ15,600円であった。この月は完成品すべてを製品として振り替え、差異は原価差異勘定で把握する。必要な仕訳を示しなさい。

答え(完成品を製品へ振り替える場面)借方:製品 15,000円/貸方:仕掛品 15,000円 (実際製造原価と標準原価との差異を把握する場面)借方:原価差異 600円/貸方:仕掛品 600円

考え方シングル・プランでは、完成品の振替を標準原価で行うと考える。よって50個×300円で製品15,000円、仕掛品15,000円となる。次に、実際製造原価15,600円に対して標準原価は15,000円なので、実際が600円多い。この超過額は不利差異であり、原価差異として借方に把握すると判断する。差額分だけ仕掛品側の貸方を追加して、実際額との対応を取る。

確かめ完成品振替は15,000円と15,000円で一致する。差異仕訳も600円と600円で一致する。また、標準原価15,000円+原価差異600円=実際製造原価15,600円となり整合する。

例題3差異を損益へ反映する確認

当月の標準売上原価は48,000円である。別途把握された原価差異は、不利差異1,200円であった。月末に差異の全額を売上原価へ振り替える方針である。売上原価へ反映後の金額を求め、必要な仕訳を示しなさい。

答え売上原価へ反映後の金額は49,200円 (原価差異を売上原価へ振り替える場面)借方:売上原価 1,200円/貸方:原価差異 1,200円

考え方不利差異は、標準で把握した原価より実際の負担が大きかったことを示す。したがって損益計算では売上原価を増加させる方向で処理すると判断する。標準売上原価48,000円に不利差異1,200円を加えれば、損益へ反映すべき売上原価は49,200円となる。差異勘定を減らし、売上原価を増やすため、借方売上原価、貸方原価差異の仕訳になる。

確かめ48,000円+1,200円=49,200円。仕訳は借方1,200円、貸方1,200円で一致する。不利差異を加算しているため、売上原価の増加という結論とも整合する。

よくある間違い

結論だけを覚えて、標準数量や標準価格の前提確認をしない。

パーシャル・プランとシングル・プランの帳簿の流れを混同する。

差異の有利・不利だけを見て、借方貸方の向きを誤る。

差異を求めた後、売上原価や損益への反映まで確認しない。

この講の用語

標準原価ひょうじゅんげんか
あらかじめ合理的に設定した原価で、実際原価との差異を管理する基準となる原価。
パーシャル・プランぱーしゃるぷらん
実際額の把握を基礎にしながら、標準原価との差異を別に認識して処理する方法。
シングル・プランしんぐるぷらん
標準原価を中心に帳簿記録を行い、実際との差異を差異勘定で把握する方法。
差異会計さいかいけい
標準原価と実際原価との差を差異として認識し、帳簿および損益へ反映する会計処理。

章立て

  1. 0:00導入この講の到達目標と、問題文を読む出発点を確認します。
  2. 0:24中心概念標準原価、パーシャル・プラン、シングル・プラン、差異会計
  3. 1:13重要用語標準原価、パーシャル・プラン、シングル・プラン、差異会計
  4. 2:03基本ルール定義を確認してから計算に入る。 認識・測定では標準で捉える部分と実際で捉える部分を区別する。 計算順序は標準原価の算定、差異の把握、損益反映の順で進める。 検算では標準原価と差異の合計が実際額と対応するか確かめる。
  5. 2:44判断手順取引事実または計算条件を確認し、使う勘定科目・計算順序・検算の順に進みます。
  6. 3:19確認ケース1ある製品を100個完成させた。標準では1個当たり材料費200円、労務費120円、製造間接費80円で、標準原価は1個400円である。したがって完成品100個の標準原価は40,000円である。一方、当月の実際発生額は材料費20,500円、労務費12,300円、製造間接費8,100円、合計40,900円であった。差異の金額を求め、その意味を答えなさい。
  7. 3:38確認ケース2シングル・プランを採用している。完成品50個の標準原価は1個300円で、当月完成品の標準原価は15,000円である。月末に実際製造原価を集計したところ15,600円であった。この月は完成品すべてを製品として振り替え、差異は原価差異勘定で把握する。必要な仕訳を示しなさい。
  8. 5:23確認ケース3当月の標準売上原価は48,000円である。別途把握された原価差異は、不利差異1,200円であった。月末に差異の全額を売上原価へ振り替える方針である。売上原価へ反映後の金額を求め、必要な仕訳を示しなさい。
  9. 6:53よくある誤り結論だけを覚えて、標準数量や標準価格の前提確認をしない。 パーシャル・プランとシングル・プランの帳簿の流れを混同する。 差異の有利・不利だけを見て、借方貸方の向きを誤る。 差異を求めた後、売上原価や損益への反映まで確認しない。
  10. 8:30まとめ標準原価計算では、標準を基準に実際との差を差異として捉え、その差異を帳簿と損益へ反映することが中心です。パーシャル・プランとシングル・プランは記録の流れが異なるため、採用方法を先に見極めることが重要です。学習では、定義、認識・測定、計算順序、検算の順で整理すると安定して解けます。
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