原価分類・CVP会員向け9:09

原価行動とCVP:限界利益から利益計画を作る

固定費・変動費の分類から、直接原価計算に基づく限界利益、CVP分析、損益分岐点、利益計画までを一連の流れで確認します。数量・価格・原価の変化が利益へ与える影響を、計算式の意味と検算方法まで含めて整理します。

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この講で分かるようになること

数量・価格・原価の変化が利益へ与える影響を計算できる。

  • 固定費と変動費を数量との関係から分類できるようにする。
  • 限界利益と限界利益率を使って損益分岐点を求められるようにする。
  • 目標営業利益から必要販売数量や必要売上高を逆算できるようにする。

前提知識

  • 日商簿記2級の基本論点。

要点

  1. 原価は総額と単位当たりのどちらで見ているかを区別して分類する。
  2. 直接原価計算では変動費に着目し、限界利益を利益分析の中心に置く。
  3. CVP分析は数量、販売単価、変動費単価、固定費の関係を式で結びつける。
  4. 損益分岐点は限界利益が固定費に等しくなる点として理解する。

判断のルール

  • 定義を確認し、固定費・変動費・限界利益の意味を先に固める。
  • 認識と測定では、数量基準か売上高基準か、単位当たりか総額かを明確にする。
  • 計算は単位限界利益または限界利益率を先に求めてから、損益分岐点や目標利益へ進む。
  • 最後に利益ゼロまたは目標利益へ戻して検算する。

例題

例題1固定費と変動費の分類確認

ある製品について、1個当たり販売単価は2,500円、1個当たり材料費は900円、1個当たり販売手数料は売上の4%、毎月の工場建物賃借料は180,000円、毎月の営業部門給料は120,000円である。材料費、販売手数料、工場建物賃借料、営業部門給料を固定費と変動費に分類しなさい。また、1個当たりの変動費合計と単位限界利益を求めなさい。

答え分類:材料費900円は変動費、販売手数料は売上の4%なので1個当たり100円で変動費、工場建物賃借料180,000円は固定費、営業部門給料120,000円は固定費。 1個当たり変動費合計:900円+100円=1,000円。 単位限界利益:2,500円-1,000円=1,500円。

考え方数量に応じて総額が増減するかどうかで判断する。材料費は販売数量や生産数量に応じて増えるので変動費である。販売手数料も売上高に一定率で連動するため、販売数量が増えれば総額も増えるので変動費といえる。これに対して、建物賃借料と毎月一定額の給料は、少なくとも当月の通常の範囲では数量が変わっても総額が変わりにくいため固定費とみる。CVPでは先に1個当たり変動費をまとめ、それを販売単価から差し引いて単位限界利益を出す。

確かめ販売手数料の確認:2,500円×4%=100円。変動費合計は900円+100円=1,000円で整合。単位限界利益1,500円に固定費はまだ含めていないため、営業利益ではないことも確認する。

例題2損益分岐点販売数量の計算

ある会社の製品Aについて、販売単価は4,000円、1個当たり変動費は2,400円、月間固定費は320,000円である。損益分岐点販売数量と損益分岐点売上高を求めなさい。

答え単位限界利益:4,000円-2,400円=1,600円。 損益分岐点販売数量:320,000円÷1,600円=200個。 損益分岐点売上高:200個×4,000円=800,000円。 別解として、限界利益率=1,600円÷4,000円=40%、したがって損益分岐点売上高=320,000円÷40%=800,000円。

考え方損益分岐点では営業利益がゼロになるので、限界利益が固定費と等しくなる。したがって、まず販売単価から1個当たり変動費を差し引いて単位限界利益を求める。次に固定費を単位限界利益で割れば、固定費をちょうど回収できる販売数量が出る。売上高を求める方法は2通りあり、販売数量に販売単価を掛ける方法と、限界利益率を使って固定費を割る方法がある。どちらも同じ結果になるはずであり、これが検算にもなる。

確かめ200個販売時の検算:売上高800,000円、変動費480,000円、限界利益320,000円、固定費320,000円、営業利益0円。利益ゼロとなるので損益分岐点として整合する。

例題3目標利益を達成するための必要販売数量

製品Bの販売単価は5,000円、1個当たり変動費は3,200円、月間固定費は540,000円である。月間営業利益を180,000円にしたい。必要販売数量と、そのときの売上高を求めなさい。

答え単位限界利益:5,000円-3,200円=1,800円。 必要販売数量:(540,000円+180,000円)÷1,800円=400個。 必要売上高:400個×5,000円=2,000,000円。

考え方目標利益がある場合は、固定費だけでなく目標営業利益も限界利益で回収しなければならない。そこで、必要な限界利益総額は固定費540,000円と目標営業利益180,000円の合計720,000円になる。次に、1個売るごとにいくら限界利益が増えるかを見るため、販売単価から1個当たり変動費を差し引いて単位限界利益1,800円を求める。最後に必要な限界利益総額を単位限界利益で割れば、必要販売数量が出る。売上高はその数量に販売単価を掛ければよい。

確かめ400個販売時の検算:売上高2,000,000円、変動費1,280,000円、限界利益720,000円、固定費540,000円、営業利益180,000円。目標営業利益と一致し、計算は整合する。

よくある間違い

固定費と変動費を、総額ではなく単位当たりの動きだけで早合点して分類してしまう。

限界利益と営業利益を混同し、固定費控除前の数値をそのまま利益とみなしてしまう。

損益分岐点売上高を求める場面で、限界利益率ではなく単位限界利益をそのまま使ってしまう。

目標利益が与えられているのに、損益分岐点の式のままで計算してしまう。

答えを出した後に、利益ゼロや目標利益での検算を行わない。

この講の用語

固定費こていひ
一定の期間内では、操業度や販売数量が変動しても総額が大きく変わりにくい原価。
変動費へんどうひ
操業度や販売数量の増減に応じて、総額が比例的に増減する原価。
直接原価計算ちょくせつげんかけいさん
変動製造原価を製品原価とし、固定製造間接費は期間原価として扱う考え方。
CVP分析しーぶいぴーぶんせき
原価・販売量・利益の関係を用いて、損益分岐点や目標利益達成条件を分析する手法。
損益分岐点そんえきぶんきてん
営業利益がゼロとなり、限界利益が固定費とちょうど等しくなる売上高または販売数量。

章立て

  1. 0:00導入この講の到達目標と、問題文を読む出発点を確認します。
  2. 0:22中心概念固定費・変動費、直接原価、CVP、損益分岐
  3. 1:11重要用語固定費、変動費、直接原価計算、CVP分析、損益分岐点
  4. 2:00基本ルール定義を確認し、固定費・変動費・限界利益の意味を先に固める。 認識と測定では、数量基準か売上高基準か、単位当たりか総額かを明確にする。 計算は単位限界利益または限界利益率を先に求めてから、損益分岐点や目標利益へ進む。 最後に利益ゼロまたは目標利益へ戻して検算する。
  5. 2:38判断手順取引事実または計算条件を確認し、使う勘定科目・計算順序・検算の順に進みます。
  6. 3:01確認ケース1ある製品について、1個当たり販売単価は2,500円、1個当たり材料費は900円、1個当たり販売手数料は売上の4%、毎月の工場建物賃借料は180,000円、毎月の営業部門給料は120,000円である。材料費、販売手数料、工場建物賃借料、営業部門給料を固定費と変動費に分類しなさい。また、1個当たりの変動費合計と単位限界利益を求めなさい。
  7. 3:23確認ケース2ある会社の製品Aについて、販売単価は4,000円、1個当たり変動費は2,400円、月間固定費は320,000円である。損益分岐点販売数量と損益分岐点売上高を求めなさい。
  8. 5:05確認ケース3製品Bの販売単価は5,000円、1個当たり変動費は3,200円、月間固定費は540,000円である。月間営業利益を180,000円にしたい。必要販売数量と、そのときの売上高を求めなさい。
  9. 6:22よくある誤り固定費と変動費を、総額ではなく単位当たりの動きだけで早合点して分類してしまう。 限界利益と営業利益を混同し、固定費控除前の数値をそのまま利益とみなしてしまう。 損益分岐点売上高を求める場面で、限界利益率ではなく単位限界利益をそのまま使ってしまう。 目標利益が与えられているのに、損益分岐点の式のままで計算してしまう。 答えを出した後に、利益ゼロや目標利益での検算を行わない。
  10. 8:00まとめCVPでは、まず固定費と変動費を正しく分け、次に限界利益や限界利益率を求め、その後に損益分岐点や利益計画へ進みます。数量基準か売上高基準かを見極め、最後に基本式へ戻って検算することが重要です。
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