難点突破会員向け9:52

連結会計進階:段階取得・持分変動・未実現損益

2027年度の範囲に沿って、段階取得、追加取得、一部売却、アップ・ダウンの未実現損益、連結税効果を整理します。支配の有無、計算単位、利益の帰属先を区別しながら、連結上の判断を安定させる講義です。

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この講で分かるようになること

段階取得、追加取得、一部売却、アップ/ダウン、連結税効果

  • 支配獲得時点を基準に段階取得を整理できるようになる
  • 追加取得と一部売却を資本取引として判定できるようになる
  • アップ・ダウンの違いと非支配株主持分への影響を区別できるようになる
  • 未実現損益の消去から連結税効果まで一連で追えるようになる

前提知識

  • 対応する主コースを完了していること。

要点

  1. 段階取得は支配獲得日に従来保有分を時価で見直して考える
  2. 追加取得と支配継続下の一部売却は連結上の資本取引として扱う
  3. アップ取引では子会社利益の修正となるため非支配株主持分にも影響しうる
  4. 未実現損益の消去と連結税効果は同じ修正の流れで把握する

判断のルール

  • 最初に支配の獲得・継続・喪失のどれかを判定する
  • 比較する金額は同一時点・同一基準の金額にそろえる
  • 損益取引か資本取引かを混同せず、連結上の帰属先で処理を分ける
  • 未実現損益は期末に残る部分だけを対象にし、必要に応じて税効果を認識する

例題

例題1段階取得でのれんを求める確認

P社は以前からS社株式を30%保有しており、その帳簿価額は240でした。今期、追加で40%を520で取得してS社を支配しました。支配獲得日における従来保有30%の時価は300、非支配株主持分20%の公正価値は160、S社の識別可能純資産の公正価値は900です。連結上、のれんはいくらですか。また、従来保有分の再評価差額はいくらですか。

答えのれん=対価合計980-識別可能純資産の公正価値900=80 対価合計の内訳=追加取得対価520+従来保有分時価300+非支配株主持分160=980 従来保有分の再評価差額=時価300-帳簿価額240=60

考え方まず、追加取得後に持株比率が70%となり支配を獲得しているため、段階取得として支配獲得日基準で考えます。次に、従来保有30%は過去の取得原価240ではなく、支配獲得日の時価300で連結上の取得対価に含めます。さらに、全面時価評価の形で非支配株主持分160も加え、対価合計を980と判断します。これと識別可能純資産の公正価値900を比較して、差額80がのれんです。あわせて、従来保有分は240から300へ見直すので、再評価差額60を把握します。

確かめ取得した持分70%だけで純資産を掛けるのではなく、対価合計と純資産全体900を対応させているかを確認します。520+300+160=980、980-900=80で整合します。再評価差額も300-240=60で一致します。

例題2追加取得を資本取引でみる確認

P社はS社をすでに子会社として連結しており、期首の持株比率は80%です。今期、非支配株主からS社株式10%を130で追加取得しました。取得日における連結貸借対照表上の非支配株主持分のうち、この10%に対応する帳簿価額は110です。連結上の処理を示してください。

答え(追加取得)借方:非支配株主持分 110、資本剰余金 20/貸方:現金 130

考え方この場面では、もともとS社は子会社であり、追加取得後も支配は継続しています。したがって、連結上は損益取引ではなく資本取引として処理します。支払額130と、減少させる非支配株主持分の帳簿価額110との差額20は、当期損益ではなく資本剰余金で調整します。問題を見たときに株式を買ったからのれんや取得差額を計算したくなりますが、支配獲得後の追加取得である点が判断の決め手です。

確かめ借方合計は110+20=130、貸方の現金130と一致します。非支配株主持分は追加取得した10%相当分だけ減少し、差額20が資本剰余金に振り替わっていれば整合しています。

例題3アップ取引の未実現利益と連結税効果

子会社S社は親会社P社に商品を150で販売しました。S社の売上原価は120なので、S社が計上した利益は30です。期末時点でP社はこの商品の40%を外部へ未販売のまま保有しています。税率は30%とします。アップ取引として、連結上消去すべき未実現利益と繰延税金資産はいくらですか。なお、S社に対する非支配株主持分は25%です。

答え未実現利益=内部利益30×期末残存割合40%=12 繰延税金資産=未実現利益12×税率30%=3.6 非支配株主持分への影響額=未実現利益12×25%=3

考え方まず、S社からP社への販売なのでアップ取引と判断します。次に、S社が内部取引で計上した利益は販売価額150-売上原価120=30です。ただし、期末に残っているのは40%だけなので、連結上まだ実現していない利益は30の40%に当たる12です。この12を消去すると、会計上は棚卸資産の簿価と利益が減少しますが、税務上は直ちに同じ形で減らないため、一時差異が生じます。したがって、12に税率30%を掛けた3.6を繰延税金資産と考えます。さらにアップ取引なので、利益修正は子会社側利益の修正となり、非支配株主持分にも影響します。

確かめ内部利益30のうち未販売部分40%だけを対象にしているため、未実現利益は12です。12×30%=3.6で税効果が一致します。非支配株主持分への影響額も12×25%=3で計算が通ります。

よくある間違い

段階取得で従来保有分を過去の取得原価のまま処理してしまう

追加取得や支配継続下の一部売却で連結損益を計上してしまう

アップ取引なのに非支配株主持分への影響を無視してしまう

未実現損益の全額を消去し、期末残高に対応する部分だけという条件を見落とす

税効果を単なる税率計算で済ませ、どの連結修正から生じた差異かを確認しない

この講の用語

段階取得だんかいしゅとく
複数回の取得を経て支配を獲得すること。連結上は支配獲得日に従来保有持分を時価で見直して処理する。
追加取得ついかしゅとく
すでに子会社である会社の株式をさらに取得すること。連結上は原則として資本取引として扱う。
一部売却いちぶばいきゃく
保有する子会社株式の一部を売却すること。支配が継続するかどうかで連結処理が変わる。
アップ取引あっぷとりひき
子会社から親会社への内部取引。未実現利益の消去が子会社利益の修正となるため、非支配株主持分に影響することがある。
ダウン取引だうんとりひき
親会社から子会社への内部取引。未実現利益の消去は主として親会社側の利益修正として考える。
連結税効果れんけつぜいこうか
連結修正により生じた一時差異について、繰延税金資産または繰延税金負債を認識する考え方。

章立て

  1. 0:00導入この講の到達目標と、問題文を読む出発点を確認します。
  2. 0:23中心概念段階取得、追加取得、一部売却、アップ/ダウン、連結税効果
  3. 1:01重要用語段階取得、追加取得、一部売却、アップ取引、ダウン取引、連結税効果
  4. 1:51基本ルール最初に支配の獲得・継続・喪失のどれかを判定する 比較する金額は同一時点・同一基準の金額にそろえる 損益取引か資本取引かを混同せず、連結上の帰属先で処理を分ける 未実現損益は期末に残る部分だけを対象にし、必要に応じて税効果を認識する
  5. 2:22判断手順取引事実または計算条件を確認し、使う勘定科目・計算順序・検算の順に進みます。
  6. 2:57確認ケース1P社は以前からS社株式を30%保有しており、その帳簿価額は240でした。今期、追加で40%を520で取得してS社を支配しました。支配獲得日における従来保有30%の時価は300、非支配株主持分20%の公正価値は160、S社の識別可能純資産の公正価値は900です。連結上、のれんはいくらですか。また、従来保有分の再評価差額はいくらですか。
  7. 3:20確認ケース2P社はS社をすでに子会社として連結しており、期首の持株比率は80%です。今期、非支配株主からS社株式10%を130で追加取得しました。取得日における連結貸借対照表上の非支配株主持分のうち、この10%に対応する帳簿価額は110です。連結上の処理を示してください。
  8. 5:12確認ケース3子会社S社は親会社P社に商品を150で販売しました。S社の売上原価は120なので、S社が計上した利益は30です。期末時点でP社はこの商品の40%を外部へ未販売のまま保有しています。税率は30%とします。アップ取引として、連結上消去すべき未実現利益と繰延税金資産はいくらですか。なお、S社に対する非支配株主持分は25%です。
  9. 6:42よくある誤り段階取得で従来保有分を過去の取得原価のまま処理してしまう 追加取得や支配継続下の一部売却で連結損益を計上してしまう アップ取引なのに非支配株主持分への影響を無視してしまう 未実現損益の全額を消去し、期末残高に対応する部分だけという条件を見落とす 税効果を単なる税率計算で済ませ、どの連結修正から生じた差異かを確認しない
  10. 8:51まとめこの範囲では、まず支配の有無と継続性を判定し、そのうえで損益取引か資本取引かを分けることが核心です。段階取得は支配獲得日基準、追加取得と支配継続下の一部売却は資本取引、内部取引はアップ・ダウンで利益の帰属先を区別し、未実現損益の消去と連結税効果を一体で考えると整理しやすくなります。
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