難点突破会員向け9:13

金融商品進階:ヘッジ・外貨・税効果を横断する

デリバティブ、ヘッジ会計、外貨建金融資産、税効果を横断して、判断順序と計算のつながりを整理します。

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この講で分かるようになること

デリバティブ、ヘッジ会計、外貨建金融資産、税効果

  • デリバティブとヘッジ対象の対応関係を順序立てて判定できるようにする。
  • 外貨建金融資産の換算差額とデリバティブ評価差額を切り分けて把握する。
  • 評価差額や換算差額から生じる一時差異を見分けて税効果へ接続する。

前提知識

  • 対応する主コースを完了していること。

要点

  1. 前提条件を確認し、対象がデリバティブか外貨建金融資産かを先に特定する。
  2. 外貨換算差額とデリバティブの評価差額は別々に計算してから関係づける。
  3. ヘッジ会計では、ヘッジ対象とヘッジ手段の対応関係を崩さない。
  4. 税効果は会計上の認識時期と税務上の認識時期のずれから考える。

判断のルール

  • 前提条件、計算単位、対応する資産または負債を分けて判断する。
  • 複数論点が同時に出ても、外貨換算、時価評価、ヘッジ会計、税効果の順で整理する。
  • 税効果は一時差異の性質を確認してから繰延税金資産または繰延税金負債を判定する。

例題

例題1外貨建債権の換算差額を確認するケース

当社は外貨建の短期貸付金100ドルを保有している。取得時の為替相場は1ドル=140円で、取得時の帳簿価額は14,000円である。決算日の為替相場は1ドル=145円であった。なお、この資産についてヘッジ手段は付されていない。決算日に必要な会計上の金額を求めなさい。

答え決算日の円換算額は100ドル×145円=14,500円。 帳簿価額14,000円との差額500円は為替差益。 したがって、決算日の資産計上額は14,500円、当期の差額は500円の益となる。

考え方まず対象は外貨建金融資産であり、デリバティブやヘッジ会計は関係しないと判断する。次に、外貨額100ドルを決算日の為替相場145円で換算して決算日の円貨額14,500円を求める。最後に、取得時からの帳簿価額14,000円との差額500円を把握する。円換算額が増えているので、差額は損ではなく益であると判断する。

確かめ検算は、増加した為替相場5円×100ドル=500円で差額を再計算できる。14,000円+500円=14,500円となり一致する。

例題2デリバティブ評価差額に税効果を接続するケース

決算日に、デリバティブの時価評価により会計上400円の評価益を認識した。この評価益は税務上、当期には益金算入されず、将来実現時に課税されるものとする。法定実効税率を30%として、当期に認識すべき税効果の金額を求めなさい。

答え会計上の評価益400円は当期に利益へ反映されるが、税務上は当期に課税されないため、将来加算一時差異400円が生じる。 したがって、繰延税金負債は400円×30%=120円である。

考え方まず会計上では評価益400円を認識しているが、税務上は未実現として当期の課税所得に入らない事実に注目する。これは将来、その益が税務上認識される方向の差異なので、将来加算一時差異と判断する。将来加算一時差異には繰延税金負債を対応させるため、差異400円に税率30%を掛けて120円を求める。

確かめ検算は、税務上当期に課税されない分だけ当期税額が少なくなり、将来その分を負担する関係にあるかで確認する。将来負担増なので繰延税金負債となり、120円の方向で整合する。

例題3外貨建金融資産とデリバティブを切り分ける確認ケース

当社は外貨建社債を保有しており、決算日にこの社債の円換算による差益が300円生じた。また、為替変動に対応するため保有しているデリバティブについて、決算日に時価評価差損が280円生じた。ここでは、それぞれの差額を混同しないことだけを確認したい。会計上、まず把握すべき差額を示しなさい。

答えまず把握すべき差額は二つに分かれる。 外貨建社債から生じた円換算差益300円。 デリバティブから生じた時価評価差損280円。 したがって、両者を単純に相殺して最初から20円の益とみるのではなく、300円の差益と280円の差損を別々に認識してから次の判定へ進む。

考え方この場面では、資産本体である外貨建金融資産の換算差額と、ヘッジ手段となり得るデリバティブの評価差額が同時に存在している。横断論点で重要なのは、差額がどこから生じたかを最初に切り分けることなので、社債からの300円とデリバティブからの280円を独立して把握する。ヘッジ会計の判定や表示先の整理は、その切り分けの後に行うべきであり、最初から純額だけで考えるのは不適切である。

確かめ検算は、差額の発生源ごとに金額を確認すること。社債側300円、デリバティブ側280円で合計の動きは差し引き20円だが、初期判定として必要なのは純額ではなく内訳の保存である。

よくある間違い

主コースの基本処理と高度論点を混同し、判定順序を飛ばしてしまう。

外貨換算差額とデリバティブの評価差額を一つの差額として処理してしまう。

ヘッジ対象とヘッジ手段の対応関係を確認せず、処理を先に決めてしまう。

税効果で一時差異の方向を見誤り、繰延税金資産と繰延税金負債を逆にする。

この講の用語

デリバティブでりばてぃぶ
金利、為替、価格などの変動を基礎として価値が決まる金融商品で、時価評価を基礎に処理を考える対象。
ヘッジ会計へっじかいけい
ヘッジ手段とヘッジ対象を対応させ、価格変動や為替変動による損益の認識時期を適切に対応させる会計処理。
外貨建金融資産がいかだてきんゆうしさん
外貨額で表示される金融資産で、決算時には為替相場に基づく換算を行い、帳簿価額との差額を把握する。
税効果ぜいこうか
会計上と税務上で収益や費用の認識時期が異なることによる税額の期間配分を行う考え方。
一時差異いちじさい
会計上の資産負債の額と税務上の額との差で、将来に解消されるため税効果の対象となる差額。

章立て

  1. 0:00導入この講の到達目標と、問題文を読む出発点を確認します。
  2. 0:20中心概念デリバティブ、ヘッジ会計、外貨建金融資産、税効果
  3. 1:00重要用語デリバティブ、ヘッジ会計、外貨建金融資産、税効果、一時差異
  4. 1:44基本ルール前提条件、計算単位、対応する資産または負債を分けて判断する。 複数論点が同時に出ても、外貨換算、時価評価、ヘッジ会計、税効果の順で整理する。 税効果は一時差異の性質を確認してから繰延税金資産または繰延税金負債を判定する。
  5. 2:07判断手順取引事実または計算条件を確認し、使う勘定科目・計算順序・検算の順に進みます。
  6. 2:46確認ケース1当社は外貨建の短期貸付金100ドルを保有している。取得時の為替相場は1ドル=140円で、取得時の帳簿価額は14,000円である。決算日の為替相場は1ドル=145円であった。なお、この資産についてヘッジ手段は付されていない。決算日に必要な会計上の金額を求めなさい。
  7. 3:17確認ケース2決算日に、デリバティブの時価評価により会計上400円の評価益を認識した。この評価益は税務上、当期には益金算入されず、将来実現時に課税されるものとする。法定実効税率を30%として、当期に認識すべき税効果の金額を求めなさい。
  8. 4:55確認ケース3当社は外貨建社債を保有しており、決算日にこの社債の円換算による差益が300円生じた。また、為替変動に対応するため保有しているデリバティブについて、決算日に時価評価差損が280円生じた。ここでは、それぞれの差額を混同しないことだけを確認したい。会計上、まず把握すべき差額を示しなさい。
  9. 6:24よくある誤り主コースの基本処理と高度論点を混同し、判定順序を飛ばしてしまう。 外貨換算差額とデリバティブの評価差額を一つの差額として処理してしまう。 ヘッジ対象とヘッジ手段の対応関係を確認せず、処理を先に決めてしまう。 税効果で一時差異の方向を見誤り、繰延税金資産と繰延税金負債を逆にする。
  10. 8:16まとめこの論点では、デリバティブ、外貨建金融資産、ヘッジ会計、税効果を別々に覚えるのではなく、対象の特定、差額の計算、対応関係の整理、税効果の判定という順序で横断的に処理することが重要です。
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